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コミックス『ブルーピリオド』は面白い?あらすじやポイントをご紹介します

アニメに舞台、展覧会!!!と大いに盛り上がっている美術漫画『ブルーピリオド』

2020年にはマンガ大賞を受賞し、美術になじみがなかった読者をもアツくさせている話題作です。

かくいう私も読者のひとりで、胃のあたりをキリキリさせながらも主人公の歩みを見つめております。

さて、『ブルーピリオド』は月刊アフタヌーンで掲載中。

これからどんなストーリーが繰り広げられるのか!!?と楽しみで仕方がないのですが、商業的に成り立たなければ続けられないのが連載コミックスの宿命です。

もっとたくさんの人に読んでもらって、あわよくば買っていただき、連載継続につながってほしいなー、という私情をもとにして、ブロガーらしく紹介記事を書くことにしました。

ということで、この記事は『ブルーピリオド』を読んだことがない人に向けて、概要や面白いポイントをご紹介したものです。

ネタバレ最小限に留めつつ、肝となるエッセンスをお伝えしています。

物語の展開を詳細に書いたものではありません。

とはいえ、完全にネタバレしないわけにもいかず、とりわけ主人公の藝大受験の結果は明かさずには進められません。

その点はご承知おきくださいませ。

作者の思いの丈が、存分に綴り続けられるよう祈っています。

ストーリー概略

まずは『ブルーピリオド』のストーリーをごくごく簡単ご紹介しますね。

主人公は矢口八虎(やぐちやとら)。

物語のスタート時は高校2年生で、ちょうど卒業後の進路を決める頃。

美術には全く興味はなく、就職しやすい無難な大学へ行くつもりでしたが、ひょんなことから東京藝術大学を目指すことになります。

美大受験の予備校に通い、壁にぶち当たりながらも何とか乗り越え、遂には合格切符を手にします。

しかし、一心不乱に目指してきた藝大での生活は、甘くはありませんでした。

自分の作品のつたなさ、思考の浅さ、そして辛辣な教授陣の指導に、八虎の心は揺れ動きます・・・

単行本1~6巻までは藝大受験が、7巻以降は藝大生活が中心に描かれています。

著者はどんな人?

著者は山口つばささん。

実は山口さん、主人公の八虎が目指す東京藝術大学の油画出身。

八虎が通う予備校も、ご自身が通っていたところがモデルになっています。

美大受験や学生生活をリアルに描けるのは、主人公の通った道を実際に歩まれているからなんですね。

とはいえ、受験界も移り変わるもの。

山口さんが受験した時とは事情が違っている部分もあるため、現役の予備校教師らに取材をして情報をアップデートさせています。

【参考】
マンガのとりこ 『ブルーピリオド 山口つばさインタビュー』
https://manga.torico-corp.com/ma/blueperiod/

経験に最新情報を加えることで、迫力満点かつ今読んでも違和感のない作品に仕上がっているのです。

ここが面白い!

では、『ブルーピリオド』のどこが面白いのでしょうか。

人気の秘密をネタバレ最小限でお伝えしていきます。

『ブルーピリオド』のテーマは、6巻までは藝大受験が中心ですが、7巻以降は藝大での生活に大きく変化します。

なので、面白いポイントも2部に分けてご紹介しますね。

以下、便宜的に、6巻までを「受験編」、7巻以降を「藝大編」と呼びながらお話ししていきます

受験編:スポ根漫画のような熱気

受験編の面白さは、王道のスポ根漫画のようなアツいストーリー展開にあります。

今まで興味のなかったことにのめり込んだ主人公が、格上のライバルに揉まれ、恩師に助けられながら、合格という“勝利”に向かって進んでいく。

自分の未熟さを痛感して涙したり、成長を実感して涙したり。

幾度となく涙腺を崩壊させながらも泥臭く前に進んでいく姿は、我々の心を強く強く揺さぶってきます。

そしてクライマックスの藝大入試。

流してきた涙が報われてほしい!と我々にも緊張が走る中、襲いかかるトラブルの数々。

“受かる”作品は描けるのか!?

というかそもそも・・・!!?

手に汗握るドキドキハラハラの展開に目が離せません。

夜に読み始めたら寝るタイミングを逃すやつ、電車で読んだら乗り過ごすやつです。

ラストの合否発表の場面では、主人公の結果を知っていてもなお、緊張が伝染してこちらの身体もこわばってしまいます。

これはヒットするわなあ・・・と納得がいくくらい、ドラマティックで圧倒的な迫力を備えた作品なのです。

なぜここまで入り込めるのか。

理由のひとつは、主人公の心情が丹念に描かれている上、それが美術に限らない普遍的なものだからでしょう。

美術に特別ご縁がなかったとしても、過去に経験した何がしかを重ねてアツくなれる。

その“王道”のストーリーが受験編の醍醐味です。

藝大編:創作にまつわる苦悩や疑問

さて、受験編はエンターテイメントとしては抜群に面白いものの、美術に馴染みがある読者はちょっとした不安を感じます。

「八虎は藝大に行って大丈夫だろうか・・・?」

というのも、今までこなしてきた制作のほとんどには、“藝大合格”というはっきりとした目的がありました。

平面の描画が中心で、テーマも画材も指定され、予備校教師による分かりやすい指導付き。

しかも、ピカソの何が凄いのかも分からないくらい知識不足。

授業についていけるレベルではないのでは?と思ってしまいます。

不安は的中。

まさにその通り。

7巻から始まる藝大編は、八虎がもがき苦しむお話なのです。

同級生は他の星の住人のように“深そうな”話をしているし、教授の指導は端的かつ抽象的で意味不明。

落ち込んでいるところに怪しげなオトナも現れて、いかがわしくも魅惑的な世界を見せてくる。

受験編とは違う種類の緊張がただよっています。

大学編の醍醐味は、戸惑い迷う八虎の視点を通して深まる、創作活動や美術教育、才能などへの疑問です。

いい作品って何?

制作ってどういうこと?

大学、何のためにあるの?

この問いかけは、美術や創作に馴染みがある人なら、一度はふと思ったり悩んだりしたことがあるかもしれません。

深くて切実で難しいテーマですが、現代日本において美術と関わっていく上でぶち当たる問い。

藝大編は、これに向き合っていくのです。

特にスリリングなのは、藝大に批判的な感情も描かれている点。

作者が藝大出身であることをふまえると、リアルさが増すとともに、ハラハラするところがありますね。

八虎はこれからどう歩みを進めていくのか、どのように変化していくのか、緊張感を持って注視したいところです。

最新巻は?紙と電子どちらがおすすめ?

2022年6月時点でコミックス単行本は12巻まで発売されています。

紙の単行本と電子書籍の両方が手に入り、どちらにもメリットとデメリットがありますが、おすすめなのは見開きが見られる媒体です。

というのも、見開き1ページに1コマ広げられることが度々あるのです。

どのコマも一枚の絵画としても鑑賞できるような迫力を備えていて、しかも作者が印象に残したいのであろう重要なタイミングで現れます。

見開きで見られないのは非常にもったいない。

私は当初、文庫サイズのモノクロディスプレイで読んでいたのですが、思い直してタブレットを横にして読み直しました。

伝わり方が全くもって違います。

(しかもタブレットの方が画質もよかった。感動するくらいよかった。)

見開きで表示できるくらい大きいディスプレイなら電子版でOKですが、1ページしか表示できないのであれば紙の方をおすすめします。

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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