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【前編】国立中央博物館の見どころ,BTS聖地を徹底解説★ソウル博レポ

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ソウル・龍山にある国立中央博物館は、韓国の歴史と文化にとって重要な品々を所蔵し、一般に公開しています。

韓国を代表する博物館で、アクセスもよいため、ソウルを観光するなら絶対に外したくないスポットと言えるでしょう。

私自身、ソウルに旅行した時には本当に楽しみにしていて、実際に朝から夕方まで入り浸ってしまいました・・・笑

さて。

旅行で寄るのは決めたとして、色々と疑問が湧いてきます。

「結局なにを見ればいいの?」

「予約は要るの?」

「時間はどれくらい見積もるべき?」

などは事前に知っておきたいですよね。

ということでブログに書いてみました。

長くなったので前編・後編の2本立てにしてお送りします。

今回は【前編★見どころ&BTSスポット】

所要時間やチケット予約など、実際に訪問するにあたって必要な情報は後編にまとめたので、そちらもぜひご覧くださいませ。

★後編の目次★

  • アクセス
  • 観覧料・チケット・事前予約
  • 所要時間
  • 公式アプリが便利すぎる
  • 気になる疑問
  • 予習におすすめの書籍

▼後編はこちら
https://mutsumutsu-daifuku.com/seoul-nmkorea2/

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常設展示の構成

常設展示館は3フロアにまたがり、6つのジャンルに分かれています。

この6ジャンルはそれぞれ○○館と呼ばれていて、それぞれ独立した建物のように聞こえるのですが、あくまでも1つの建物内のエリア名です。

詳しい見どころは後の項目でお伝えするので、まずはざっくりとした概要のみまとめました。

まずは1階にある先史・古代館と中世・近世館について。

出典:国立中央博物館

1階の2館は、旧石器時代から大韓帝国(1897~1910年)までの朝鮮半島の歴史に関わる展示です。

全3フロアのうちの1つとはいえ、他よりも展示品の数が多く解説も濃厚なので、最も時間がかかると考えてよいでしょう。

特に、歴史好きにとっては深淵なる沼地です。

時間に余裕を持って臨んでください。

次の2階は書画館と寄贈館、そして思惟空間があるフロアです。

出典:国立中央博物館

書画館は平面美術に焦点を当て、絵画や書を展示したもの。

寄贈館は、個人からの寄贈品を寄贈者別に展示したものです。

体系立った展示とはやや違いますが、コレクターのこだわりや情熱、個性が伝わってきて、特別展のような面白さが感じられます。

そして、2階の必見スポットは思惟空間

2体の半跏思惟像(いずれも国宝)が展示されている有名な部屋で、

「国立中央博物館に行ったらこれだけは見たいな~」

と目を付けている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

思惟空間は注目度も重要度も高いので、後ほど詳しくご紹介しますね。

さて、3階にあるのは彫刻・工芸館と世界文化館です。

出典:国立中央博物館

書画館の展示品が平面美術なのに対し、彫刻・工芸館のものは立体作品。

仏教彫刻に加え、磁器金属工芸を鑑賞できます。

とりわけ、有名な高麗青磁、朝鮮独自の粉青沙器(ふんせいさき)などの磁器類は名品が揃っており、いつまでも目を離させないくらい魅力的。

フロアマップで見ると広くなさそうですが、展示点数も多いので、器好きなら時間を割きたいところです。

世界文化館は、インドや中国といった朝鮮以外の地域の絵画、彫刻などが展示されています。

日本のコーナーにはおなじみの浮世絵などがあるのですが、海外で自国の美術品に出会うのは何となく新鮮な気持ちがするから不思議です。

面白い展示ではありますが、

「時間も限られているし、ソウルに来たからには朝鮮ものに集中したい!」

という方は飛ばしてもよいかもしれません。

以上、ざっくりとした概要でした。

なお、1階中央通路(歴史の道)には案内ロボット「QI」がいます。

行きたい展示室を選ぶと案内してくれるので、道に迷ったらタッチパネルで聞いてみましょう。

ただ、人気者なのでなかなか空いている子に会えないんですよね・・・。

暇そうにしている子がいたらとってもラッキーです!!

これが必見!見どころ5選

ここからは、特に見ごたえのある展示を5ヶ所に絞り込んでご紹介しますね。

美術・歴史好きの筆者の趣味がかなり入っていますがご容赦くださいませ。

先史・古代館でたどる文明の発展

まずは「朝鮮半島の歴史」をテーマにした1階展示を取り上げましょう。

ここでは、朝鮮の人々が技術を磨き、社会を構築していった過程をたどることができます。

後半の高麗や朝鮮王朝ももちろん面白いのですが、とりわけ先史・古代館の充実ぶりは際立っています。

先史・古代館は、旧石器時代から朝鮮半島を統一した高麗の前まで(統一新羅、渤海まで)を扱っていて、原始的な道具から徐々に進歩していく様子を見せてくれています。

石を割って作った武器で狩りをしていた人々が、洗練された青銅器、強靱な鉄器を作るようになる。

装飾も、土器につけられた単純な模様から、手の込んだ細工が施された金属製の装身具に進化していく。

展示をたどっていくと、文明の著しい発展と人々の創意に感動を覚えるはずです。

石器は日本のものとあまり変わらなくても、技術が進歩するにつれて独自性が出てくる展も興味深いポイントですね。

文章だけでなくイラストや動画でも解説されているので、直感的に分かりやすくなっています。

ぜひ時間を多めにとって堪能してみてくださいね。

“高麗青磁”と“粉青沙器”

展示場所:3階 彫刻・工芸館

朝鮮の美術品で名高いのが磁器。

国立中央博物館には優れた磁器がたっぷりと展示されています。

マップでは展示室は広くなさそうに見えますが、磁器は書画などよりも小さいこともあって、展示の密度が半端ありません。

しかもどれもうっとり見惚れてしまうほど美しいので、想像以上に見ごたえがあるはずです。

必見は“高麗青磁”。

「翡色(ひしょく)」と呼ばれる緑がかったまろやかな青色が特徴の磁器で、趣向を凝らした細工が施されたものもあります。

シルエットもまた絶妙に上品なので、展示ケースをぐるっと回って色々な角度から眺めてみましょう。

いやあ、美しい・・・。

書きながら思い出して、恋しくなってきます。

家にあったら1日中撫でたり見つめたり写真を撮ったりし続けてしまうこと間違いありません。

なんと危険なのでしょう。

高麗青磁の他、“白磁”も見事ですが、個人的に好きなのは“粉青沙器(ふんせいさき)”。

粉青沙器は白みがかったグレーの磁器で、14世紀半ばから16世紀前半頃の朝鮮で作られたものです。

高麗青磁が上品な佇まいなのに対し、粉青沙器は比較的素朴な雰囲気。

模様にもあたたかみがあり、陶土の香りがほんのり漂ってくるようなぬくもりが感じられます。

悲しいことがあった日の夜に窓辺で一緒に静かな音楽を聴いてくれたら、きっと次の日には立ち直っているだろう。

そう思わせるような、優しさと心強さをたたえています。

高麗青磁と粉青沙器、どちらも違った魅力があるのですね。

余談ですが、朝鮮磁器の展示はリウム美術館のものも充実しています。

(サムスン・リウム美術館と呼ばれることもあります)

国立中央博物館と同じソウルにあり、磁器展示は無料で見られるので、興味があればそちらもどうぞ。

リウム美術館公式サイト(英語):https://www.leeum.org/index.asp?lang=eng

愛らしい仏教彫刻

展示場所:3階 彫刻・工芸館

日本、中国、インド等々・・・世界中に数ある仏像たち。

地域ごとにそれぞれ特徴が違っていて面白いですよね。

朝鮮の仏像はどのような姿をしているのか、国立中央博物館では確認することができます。

三国時代から朝鮮王朝時代まで幅広くカバーし、素材も石や金銅などバリエーションに富んでいて、大きさも様々。

時代によって雰囲気は違いますが、全体的にふっくら丸みを帯びていて、やさしげな表情が印象に残ります。

見つめていると自然と笑顔になれるので、愛らしい仏像をぜひ堪能してみてくださいね。

国宝・半跏思惟像

展示場所:2階 思惟空間

国立中央博物館で最も有名な所蔵品のひとつが、2体の半跏思惟像と言えるでしょう。

いずれも国宝の、貴重な仏像です。

半跏思惟像とは、片脚をもう片方の腿の上にのせて組み(半跏)、物思いにふける(思惟)仏の像のこと。

「はんかしゆいぞう」又は「はんかしいぞう」と読みます。

さて、この2体のお像は国立中央博物館の必見展示品としてよく紹介されるのですが、なぜだと思いますか?

確かに展示室「思惟空間」は広く、照明や空間演出も手が込んでいて、たった2体のために作られたにしては非常に贅沢でエンターテイメント性もあるものです。

ですが、理由は展示室だけでなく、お像そのものにあります。

半跏思惟像は日本でも飛鳥時代から奈良時代にかけてよく作られていて、例えば奈良・中宮寺や京都・広隆寺のもの(いずれも国宝)は美術史の教科書には絶対に出てくるような重要な作品。

《菩薩半跏像(伝如意輪観音)》
中宮寺(奈良県) 小川晴暘撮影

仏像ファンに「好きな仏像は?」と聞いたら絶対に名前が挙がるくらい、日本で愛されています。

もちろん私も大好きです。

中宮寺は境内の雰囲気も素敵なんですよ~

この半跏思惟というスタイルのお像は、もともとは1~3世紀頃にガンダーラ地方(現パキスタン北部あたり)で作られていました。

それがやがて中国に伝わり、朝鮮に入り、日本でも作られるようになったのです。

つまり国立中央博物館の半跏思惟像は、「巧みな技術が用いられた美しい像」というだけでなく、半跏思惟というスタイルの広まりを体現しているからこそ重要で、とりわけ日本人にとって感慨深いんです。

・・・という背景を知っていると、思惟空間の鑑賞が楽しく感じられるのではありませんか?

デジタルギャラリーで迫力体験

展示場所:1階及び2階「イマーシブデジタルギャラリー」

国立中央博物館な全体的に演出が現代的で凝っていますが、イマーシブデジタルギャラリーのクオリティは尋常ではありません。

これが無料だとは、なんて太っ腹なのでしょう。

驚きです。

さて、イマーシブデジタルギャラリーの魅力はというと、何はともあれ圧倒的な臨場感でしょう。

イマーシブ(「没入感がある」の意味)の名に違わず、壁面・天井の一面に投影された映像に包み込まれることによって、まるで別世界へワープしたかのような感覚に陥ります。

映し出されるのは、高句麗の古墳内部や「辛卯年楓嶽図帖」で描かれた金剛山、仏画を通して伝えられてきた仏教上の死後の世界など、所蔵品にまつわる情景です。

いにしえの人々の世界観に直感的に親しめる上、エンターテイメントとしても楽しめるわけです。

時間に余裕があればぜひ立ち寄ってみてくださいね。

なお、イマーシブデジタルギャラリー2のみ事前予約が必要なのでご注意ください。

以上、見どころ5選でした。

ARMY必見!BTSのあの場所

ソウル市名誉観光広報大使を務め、数々のキャンペーンに出演したBTS(防弾少年団)なので、ソウルにはたくさんの「聖地」があるわけですが、国立中央博物館もその聖地の1つです。

今回はYouTubeに動画が上がっている2つの企画の舞台をご紹介しますね。

Dear Class of 2020

Dear Class of 2020はYouTubeが開催したオンライン仮想卒業式。

コロナ禍で卒業式ができなかった世界中の学生のために、オバマ元米大統領やレディー・ガガらが登壇し祝福したイベントです。

BTSもパフォーマンスとスピーチを行ったのですが、その場所がここ国立中央博物館

彼らが歌ったあの場所、語りかけたあの場所には誰でも立つことができるので、ファンなら絶対に行かないとですね!

なお、素敵なパフォーマンスはYouTubeで自由に見られるので、「BTSあんまり知らないなー」という方も気が向いたらぜひ・・・

ついでにミュージックビデオも貼っておきますね・・・(ソッ

さて、パフォーマンスが披露されたのは展示館の入口前の広場です。

奥の階段を上ったところに目印が貼ってあるので分かりやすいですね。

スピーチの方は常設展示館の1階にある歴史の道で行われています。

こちらにも目印があるので間違えずに見つけられますよ。

EoGiYeongCha

国立中央博物館のBTSスポットはDear Classが有名ですが、2021年に公開された「オギヨンチャ・ソウル編(with BTS)」もあります!

これはソウル市のグローバルマーケティングキャンペーンの一環として制作された映像で、ソウル観光財団のYouTubeチャンネル「VisitSeoul TV」で配信されています。

景福宮など他の場所も入っていますが、国立中央博物館だと1階の新羅室(RM)や敬天寺十層石塔(SUGA)が映っていますね。

聖地巡りをお楽しみくださいませ。

敬天寺十層石塔

以上で前編は終了です。

後編では所要時間や入館予約など、いざ行くにあたって必要な情報をまとめました。

▼後編はこちらからどうぞ!
https://mutsumutsu-daifuku.com/seoul-nmkorea2/

また、明洞のおすすめホテル HOTEL PRINCE のレポもあります♪

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