国立西洋美術館で開催中の「憧憬の地 ブルターニュ」へ行ってきました!
ほぼ国内の所蔵品で構成された珍しい西洋美術の展覧会ですが、さすがの西美らしく軸がしっかりした充実の展示でした。
行こうか迷っている方はぜひ行ってみることをおすすめします。
以下、展示構成や注目ポイント、混雑状況、所要時間、チケット情報のまとめです。
訪問前に参考にしていただけると嬉しいです。
展示構成
- Ⅰ 見出されたブルターニュ 異郷への旅
- Ⅱ 風土にはぐくまれる感性 ゴーガン、ポン=タヴェン派と土地の精神
- Ⅲ 土地に根を下ろす ブルターニュを見つめ続けた画家たち
- Ⅳ 日本発、パリ経由、ブルターニュ行 日本出身画家たちのまなざし
16世紀前半までは独立国であったブルターニュ。
その独特の景観や文化に芸術家から関心が向けられはじめたのは19世紀初めの頃でした。
展示はまず、ブルターニュを「異郷」として捉えた画家たちによる作品から始まります。
素朴で信心深く、独自の言語ブルトン語を話す人々、という「エキゾチックな異郷」の姿がやや定型的に描かれていることが分かります。
展示を進むと、作品はブルターニュに長期滞在・移住した画家たちによるものへと変わります。
自らもブルターニュで暮らし、人々の生活を見つめた画家ならではの視点は、序盤の作品とは異なっていることが分かります。
最後には、日本人によって描かれたブルターニュの作品が展示されています。
明治後期から大正にかけてパリへ留学していた日本人画家たちも、現地を訪れ作品を制作していました。
藤田嗣治の油彩画や山本鼎の多色刷り木版画など、日本人ならではの表現で描かれたブルターニュも面白いポイントです。
注目ポイント:
ほとんどが国内の所蔵品の西洋美術展
西洋美術の展覧会は一般的に、欧米の美術館が所蔵する作品が中心となりがちですが、今回はほとんどが国内の所蔵品からなっています。
約160点の展示作品のうち、海外の所蔵品はたったの3点。
これは珍しいですよね。
そもそも企画のはじまりは、国立西洋美術館の主任研究員の袴田紘代氏が “日本の美術館ではブルターニュが画題の作品に「少なからぬ頻度で出会う」*” と気付いたこと。
企画展が1つできるくらい充実した作品が日本にもあることを意識して鑑賞すると、アジアの東端で地道にコレクションを築いてくれた先人たちに感謝したくなります。
キャプションの所蔵先にも注目してみましょう。
*日本経済新聞より引用 2023年4月8日『フランス異郷に画家が集う 都内で2つのブルターニュ展』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69981340X00C23A4BC8000/
混雑状況
会期序盤の週末午後に訪問した際は、混雑していると感じるエリアもままありました。
特に序盤はじっくり見たくなるような小さな作品が多く、他の人を気にしつつの鑑賞になりやすかったです。
小さい作品はどうしても詰まってしまいがちですが、頑張って見る価値もちゃんとあるので、何とか楽しみたいところですね。
後半は作品サイズや展示の間隔がゆったりしていたので、ストレスを感じにくいと思います。
5月8日までは日時指定制なので、混雑を避けるには各枠の入場開始直後を避けるのが有効です。
また、平日午後と金・土曜日の夜間(20時まで開館)も一般的に混雑しにくいと言えます。
タイミングを選べばかなり違うので、混雑が気になる方は工夫してみましょう。
所要時間
所要時間は、音声ガイドやショップを除いて1時間30分~2時間くらいが目安になりそうでした。
ショップでじっくりお買い物をしたい方などは、少なくとも2時間は確保しておくとよいかと。
当日は常設展も追加料金なしで見られますし、常設の書籍販売コーナーも楽しいので、時間が余って暇だなあ・・・とはならないと思います。
時間に余裕がある時に訪問するのがおすすめです。
チケット・事前予約
チケットは当日券の他に、5月8日までは事前購入の日時指定券も用意されています。
当日券は事前準備なしで買えるので便利ではありますが、売り切れの可能性もあります。
また、最近のインバウンド再開の影響で常設展狙いのお客さんが増えたようで、窓口に行列ができている様子も目にするようになりました。
なので、5月8日までに訪問する場合は、できるだけ日時指定券を事前に購入しておくのをおすすめします。
【4月24日追記】
5月9日以降、日時指定制は取りやめとなりますが、チケット自体は継続してオンライン販売されます。
窓口に並ばずに済むので、やはり事前購入がベターでしょう!
さて、日時指定券は公式オンラインチケットサイト(e-tix)かプレイガイドで購入できます。
公式サイトは当日朝8時までキャンセルが可能。
スマホアプリの美術展ナビなら2回まで日時変更ができますが、キャンセルは不可。
チケットぴあなど他のプレイガイドではキャンセルも日時変更もできません。
予定が変わりそうな方は公式サイトか美術展ナビだと安心ですね。
写真撮影・単眼鏡
写真撮影は一部の作品のみOKです。
具体的な点数は控えそびれましたが(すみません・・・)キービジュアルのゴーガンはじめ、撮影できる作品が結構あるように感じました。
カメラ(スマホ)はぜひ持ち込みましょう。
単眼鏡は、あれば楽しみが広がります。
特に版画など、拡大したくなるような細かい描写がされている作品も多かったので、もし家にあるなら忘れずに持って行きましょう。
個人的には、展示資料の細かい文字を読むのにものすごく重宝しました。
昔の文字は小さくて、現代人はピンチアウトしたくなります・・・
「単眼鏡って本当に要るの?」
と疑問に感じる方は、こちらの記事をどうぞ↓
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
憧憬の地 ブルターニュ
―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷
国立西洋美術館
2023年3月18日(土)~6月11日(日)
特設サイト:https://bretagne2023.jp/
※訪問前に必ず公式情報をご確認ください
【巡回】
なし