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【レポ】混雑、所要時間は?速水御舟と吉田善彦展は期待以上!

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山種美術館 速水御舟と吉田善彦展

山種美術館で開催中の「速水御舟と吉田善彦 ―師弟による超絶技巧の競演―」に行ってきました。

日本画の大家・速水御舟(1894~1935年)とその弟子・吉田善彦(1912~2001年)の作品を展示したこの企画展。
正直な感想は・・・期待を遙かに上回るくらいよかったです!!

特に吉田善彦は、恥ずかしながらノーマークだったものの、古い壁画のような風合いの独特の作品達にぐわっと心を鷲づかみにされました。

速水御舟の方も、『炎舞』『名樹散椿』『翠苔緑芝』ら代表作がずらりで、さすが山種・・・と唸ってしまうほど。
お腹いっぱい大満足です。

ということで、今回は「速水御舟と吉田善彦展」のレポです。
関係者でもないただの一般人ブロガーが、一訪問者として普通に行って来た率直な感想を書きました。

主観的な部分も多々ありますが、参考にしていただければ幸いです。

新型コロナウイルス感染拡大状況によって、開館時間等が本記事記載の内容から変わっている可能性があります。
訪問前に必ず公式情報でご確認いただきますようお願いします。

展示構成

山種美術館のコレクションを中心に、速水御舟と吉田善彦の作品が計63点が展示されています。

第1章 速水御舟 ―日本画の挑戦者―
第2章 吉田善彦 ―御舟に薫陶を受けた画家―

展示室は2つに分かれており、第1章の速水御舟作品の一部が第2展示室にあります。

第2展示室は小さな空間で展示点数は多くありませんが、『炎舞』は必見です。

速水御舟 炎舞
『炎舞』
速水御舟
1925年 山種美術館 所蔵 120.4×53.7cm


そもそも第2展示室は『炎舞』が映えるように設計されているので、見逃すわけには行きません。
炎がけぶり蛾がひらひらと舞う様子が暗い室内に浮かび上がる様子は、時間を忘れるほど見入ってしまいます。

ここが面白かった!

実物だから分かる良さ

もちろん大抵の作品は写真より実物の方が素敵に感じますし、大きさから伝わる迫力や細かな凹凸は本では分からないものです。
それは言うまでもないのですが、今回の展示作品はとりわけ実物だからこその魅力が多かったように感じます。

例えば、速水御舟の『名樹散椿』

名樹散椿 速水御舟
『名樹散椿』
速水御舟
1929年 山種美術館 所蔵 二曲一双 各167.9×160.6cm


金地に椿の樹が映える美しい作品ですが、特徴的なのは背景の金。

通常、屏風の背景の金は金箔を敷き詰めるため、金箔と金箔の継ぎ目の線が多かれ少なかれ分かります。
一方『名樹散椿』では、金箔を粉末状にした砂子が使われています。
砂子を撒いてすりつぶすことで、継ぎ目のない均一な金地が現れるのです。

このきめ細かい光沢感は、写真ではなかなか伝わりきりません。
生でうっとり眺めたいものです。

吉田善彦が確立させた「吉田様式」も、実物を見ないとピンと来ません。

描き込んだ紙を揉んでから金箔を貼り、その上に彩色する。
風化を経験したかのような風合いが魅力。

そう言葉だけで表現されてもイメージが湧きづらいのですが、実物の作品を見れば解決です。
ぼわっとくすんだ空気感や、シワの間からチラリと漏れる金箔の光は、一度見たら忘れられない魅力をたたえています。

実物を会場で、ぜひ。

解説が詳しい

山種美術館はいつも解説が詳しめで、特に技法を丁寧に紹介していただけますが、今回も例に漏れず。
先ほど書いた『名樹散椿』の金地の技法も、金箔、金泥、速水御舟の使った撒きつぶしの3種類をサンプルを用いながら比較していて、違いがとても分かりやすくなっています。

にじみをコントロールする手法ドーサ引きについても序盤に解説があり、読んで以降は作品のにじみ具合も気になるようになりました。

技法だけでなく、速水御舟本人や周辺人物のことばも紹介されていて、どんな事を考えながら制作に打ち込んでいたのかを想像しながら作品に向き合えます。

見て、感じて、考えて、を一度に堪能できるのは、本当に貴重な機会ですよね。

混雑状況

会期初め頃の平日昼頃に行きましたが、その時には混んでいるとは感じませんでした。

展示ケース前に人だかりができるほどでもなく、静かにゆったり堪能できました。
入場待ちもなし。

ただ、混雑が気になるなら極力早めに、できれば平日に行けた方がよさそうだとは思いました。

山種美術館は公式ホームページで直近2週間の混雑状況を日・時間帯別に公開しているので、訪問前のチェックをおすすめします。
https://www.yamatane-museum.jp/forecast.html

また、公式Twitterでも時折「予約なしでもOKな状況です」という情報を流してくれています。

【10月3日追記】
今のところ「混雑して辛い!」という話は聞きません。
山種美術館公式の混雑情報にもゆったり見られると書いてあります。

所要時間

所要時間の目安は1時間から1時間半程度です。

点数はそこまで多くありませんが、じっくり見たくなる作品が多かったので、これくらいの時間になりそうです。
かなり駆け足でなければ1時間は切らないでしょうし、かといって2時間以上かかることはあまりないかと思います。

時間制限は設けられていませんでした。

事前予約

オンラインで日時指定の予約が可能ですが、当日窓口で直接チケットを買うこともできます。

オンライン予約は山種美術館公式ホームページからできます。

入館時間帯は60分ごとに設定されており、枠内であれば自由にタイミングを選べます。
毎週金曜日正午より翌週分の予約受付が開始されます。

お支払いはクレジットかd払いのどちらか。
購入後の変更・キャンセルはできません。

開催概要

速水御舟と吉田善彦 ―師弟による超絶技巧の競演―
山種美術館

新型コロナウイルス感染拡大状況によって、開館時間等が本記事記載の内容から変わっている可能性があります。
訪問前に必ず公式情報でご確認いただきますようお願いします。

会期

2021年9月9日(木)~11月7日(日)

休館日

月曜日(9月20日は開館)
9月21日(火)

開館時間

平日 10~16時
土日祝日 10~17時
※新型コロナ対策のため通常より1時間短縮されています

入館は閉館時間の30分前まで

入館料

一般 1,300円
大学生・高校生 1,000円
中学生以下無料

着物特典
きもので訪問すると入館料が割引されます
一般は200円、大学生・高校生は100円お得になります

アクセス

東京都渋谷区広尾3-12-36

JR・東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分
恵比寿駅よりバス、広尾高校前にて下車徒歩約1分
渋谷駅よりバス、東4丁目にて徒歩約2分

公式HP、SNS

山種美術館公式ホームページ:https://www.yamatane-museum.jp/
Twitter:@yamatanemuseum
Instagram:@yamatane_museum
Facebook:@yamatanemuseum
note:https://yamatane-museum.note.jp/

その他

展示作品の写真撮影はほとんど不可でした。
撮影可能な作品は昆虫二題(『葉蔭魔手』『粧蛾舞戯』)のみです。

余談:オンライン講演会、note

最後に、本企画展に関連した館長・山崎妙子氏による御舟解説企画を2つご紹介します。
山崎館長は速水御舟の研究者でもあるのですね。

オンライン講演会

Zoomを利用したオンライン講演会が開催されます。
山種美術館のオンライン講演会は何度か拝聴していますが、いつも楽しませていただいています。(感謝です!)

配信は2021年10月2日(土)14:00~15:30。
アーカイブ配信もあるので、リアタイが難しくても大丈夫です。

参加費は1,500円。
配信直前まで申し込めます。

https://www.yamatane-museum.jp/event/gyoshu.html

note

山種美術館館長 山﨑妙子 特別解説「速水御舟作品の魅力」(全11点収録)

速水御舟の作品11点について、詳細に解説したnoteの記事です。
全て読むのには500円必要ですが、はじめの『紅梅・白梅』のみ無料公開されています。

https://yamatane-museum.note.jp/n/neee840100a13

以上、最後までご覧いただきありがとうございました。

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