府中市美術館で開催中の企画展「動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり」に行ってきました。
三代将軍・徳川家光のゆるかわ絵画や、円山応挙の愛くるしいコロコロ仔犬ももちろん良かったのですが、全体的には一貫したテーマに沿ったストーリー性のある展示になっていました。
人々にとって動物とはどのような存在だったのか。
この大きな問いについて、日本と西洋、あるいは時代による違いを対比させながら、絵画作品を通して答えていく面白さが、全体を通して感じられた企画展でした。
以下、本展の見どころや、気になる混雑状況、所要時間などを、一訪問者として率直にレポします。
主観的なものではありますが、これから行こうか迷っている方、行こうとしている方のお役に立てれば嬉しい限りです。
新型コロナウイルス感染拡大状況によって、開館時間等が変更されている可能性があります
訪問前に必ず公式情報でご確認ください
ここが見どころ！
1冊の本を読むようなストーリー
「動物はどのように絵画に描かれてきたのか」というテーマが明確で、まるで1冊の本を読んでいるかのようなストーリーの面白さがあります。
中でも面白かったのが、ヨーロッパにおける動物観の変遷でした。
西洋ではキリスト教の価値観に基づいて、動物は人間に支配される存在として長らく考えられてきました。
神が創った、人間より格下の、全くもって別個の存在だったのです。
ですがダーウィンの進化論で、人間もサルも全ての生物が同じ祖先から進化したと主張されると、既存の動物観は衝撃を受けます。
人間は動物とつながっていたのか･･･？
ダーウィンの進化論が発表された後に描かれたガブリエル・フォン・マックスの「サルと骨格標本」からは、当時の人々の戸惑いが伝わってきます。
ガブリエル・フォン・マックス
1900年頃 個人蔵 61×44.5cm
ヨーロッパ絵画界では悪徳の象徴であったサルも、なんだか知的で精悍な顔つきをしていますね。
他にも、日本・仏教における動物観なども面白いところ。
テーマに沿わせて数多くの作品を国内外の美術館から集めてくるのも大変だったのではと思いますが、見応え抜群の展示となっています。
かわいい動物に癒やされる
"動物"と"かわいい"は切っても切れないくらい強いイメージの結びつきがありますが、本展でもかわいい動物の絵を堪能できます。
特に日本の動物の絵はかわいいものが多いですよね。
円山応挙の仔犬なんかは鉄板ですし、浮世絵からはかわいい猫と遊ぶ人間も登場します。
歌川国芳
1844～1845年
そして、府中市美術館のゆるかわ絵画と言えば･･･徳川家光ですね！
今回もバッチリ見られます。
しかもなんと、過去最大規模。
兎も木菟もピヨピヨ鳳凰も展示されます。
徳川家光
徳川記念財団
注意：大幅展示替えあり
大幅な展示替えがあるので、絶対に見たい作品がある場合注意が必要です。
例えば徳川家光の作品では、有名なユルい作品『兎図』は前期、一方ピヨピヨ鳳凰でおなじみの『鳳凰図』は後期展示になっています。
徳川家光
個人蔵
特設サイトにも前期・後期の表示がある作品も掲載されているので、お目当ての作品があるかは確認しておくことをお勧めします。
なお、チケットの半券には2回目の入館料が半額になるチケットが付いています。
前期・後期の両方行くのもアリですね。
前期：9月18日(土)～10月24日(日)
後期：10月26日(火）～11月28日(日）
混雑状況
会期序盤の週末に訪れましたが、そこまで混雑していたとは感じませんでした。
事前予約はできませんが、入場待ちはなし。
会場内も、場所によっては団子になることも少しありましたが、すぐ隣には空いているスペースもあり、ストレスになるほどではありませんでした。
ただし、展示替え間近や会期末には混雑度が高まりがちなので、早めに、できれば平日に行っておいた方が良いかとは思いました。
所要時間
所要時間は、音声ガイドなしで1時間半前後が目安です。
点数も多いので、かなり駆け足でないと1時間では難しいでしょう。
じっくり見ると2時間くらいかかってもおかしくありません。
ショップも充実しているので、少なくとも美術館に滞在する時間として2時間は確保したいところです。
また、美術館行きのバスの本数もそこまで多くないので、時間にゆとりがある時に行くよう強くおすすめします。
開催概要
開館20周年記念
動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり
府中市美術館
新型コロナウイルス感染拡大状況によって、開館時間等が変更されている可能性があります
訪問前に必ず公式情報でご確認ください
会期
2021年9月18日(土)～11月28日(日)
前期：9月18日(土)～10月24日(日)
後期：10月26日(火）～11月28日(日）
休館日
月曜日
開館時間
10:00～17:00
※入室は閉館時間の30分前まで
入館料
一般 1,000円（800円）
高校・大学生 500円（400円）
小・中学生 200円（160円）
※（）内は20名以上の団体料金
※未就学児は無料
※障害者手帳等持参で無料
※2回目は半額になります
アクセス
東京都府中市浅間町1-3 都立府中の森公園内
- 京王線府中駅よりバスで府中市美術館または天神町二丁目にて下車すぐ
- 京王線東府中駅より徒歩17分、またはバスで府中市美術館にて下車すぐ
- JR中央線武蔵小金井駅よりバスで一本木にて下車すぐ
- JR中央線国分寺駅よりバスで天神町幼稚園にて下車徒歩約8分
- JR武蔵野線北府中駅よりバスで天神町幼稚園にて下車徒歩約8分
公式HP、SNS
美術館公式サイト：https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
美術館公式Twitter：@FuchuArtMuseum
企画展特設サイト：http://fam-exhibition.com/doubutsu/
写真撮影
撮影不可
（パネルのある撮影スポットはあります）
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
