東京都庭園美術館で開催中の「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」へ行ってきました。
想像以上の作品点数で、個性豊かなボタニカルアートやウェッジウッドの陶器、そしてアール・デコの名建築に心癒やされたひとときでした。
今回はキューガーデン展について、気になる混雑状況や所要時間、見どころを詳しくレポします。
これから行こうか迷っている方、行こうとしている方のお役に立てれば嬉しい限りです。
新型コロナウイルス感染拡大状況によって、開館時間等が変更されている可能性があります
訪問前に必ず公式情報でご確認ください
そもそも○○とは?
まずはそもそもキューガーデンとは何なのか、シャーロット王妃は誰なのか、ボタニカルアートとはどんなものかの3点をざっくりとさらってみましょう。
キューガーデン
キューガーデンことキュー王立植物園は、ロンドンにある広大な植物園です。
1759年に宮殿の庭園として設立されましたが、徐々に機能を拡大。
世界中の英国植民地から植物を集め、品種改良を行い、農業の発展にも貢献するようにもなります。
現在でも植物・菌類の研究機関としての役割を果たしており、同時に一般の人々も訪れる観光名所としても親しまれています。
2003年にはユネスコ世界遺産にも登録されるなど、その幅広い功績は世界に認められています。
シャーロット王妃
シャーロット王妃(1744年5月19日~1818年11月17日)は、私的な庭園だったキューガーデンを植物園に発展させた人物です。
夫・ジョージ三世は、キューガーデンを設立したオーガスタ妃の息子。
つまりシャーロット王妃の義母がキューガーデンの設立者にあたります。
シャーロット王妃が活躍した時代の英国では、啓蒙思想の影響を受け、王室による科学・産業振興が行われていました。
キューガーデンの拡大に加え、英国を代表する陶磁器メーカー・ウェッジウッドの支援も、シャーロット王妃が携わった代表的な産業振興策のひとつです。
ボタニカルアート
ボタニカルアート(Botanical Art)とは、学術的に正しく、それでいて美しさも兼ね備えた植物画を指します。
直訳すると“植物学的な芸術”になる通り、花の付き方や葉の形が正確に誤りなく描写されていることが絶対条件となります。
一方で、丁寧に手彩色された作品はアートの名にふさわしい美しさも見逃せません。
目で見て楽しむことも意図された芸術品なのです。
ここが見どころ!
では、本展にはどのような面白さがあるのでしょうか。
見どころを3ポイントご紹介します。
ボタニカルアート堪能
”アート”の名が冠されているほど美しい植物画・ボタニカルアートが、何と約100点も一堂に会しています。
出版物の図版としてのボタニカルアートも展示されていますが、中には輪郭は銅版で描いて彩色を手で施すような非常に手の込んだ作品もあります。
情報媒体としての大量印刷品にとどまらない、見る者を楽しませる気満々の力作は、芸術作品そのもの。
ですが、ボタニカルアートの独創性は、丁寧な彩色にとどまってはいません。
R.J.ソーントンが編集した植物図鑑『フローラの神殿』は、背景に森や建物が描かれており、植物の正確な姿形を捉えるためにはかえって逆効果では?というほど創造的な世界観を押し出しています。
色とりどりの多様な植物画を楽しみましょう!
ウェッジウッド堪能
キューガーデンのボタニカルアートを中心に展示してありますが、当時の科学・産業の発展にまつわる品々ついても紹介されています。
その代表がウェッジウッドの陶器類です。
シャーロット王妃はウェッジウッドの陶器を愛用し、クイーンズウェア(Queen’s Ware, 女王の陶器)の名称を使うことを許しました。
本展では、クリーム色のクイーンズウェアや、ペールブルーに白いレリーフでおなじみのジャスパーウェアなど、約25点が展示されています。
ウェッジウッドだけでなくダービー磁器なども見られるため、器好きも楽しめるはずです。
本館建物と展示作品のマリアージュ
展示会場は本館と新館に分かれていますが、レトロな本館は特に心惹かれます。
1933年に竣工した本館は、もともとは朝香宮家の邸宅でした。
フランスで室内装飾家として活躍していたアンリ・ラパンが手がけた部屋の数々は、アール・デコ様式でなんとも優美な空間になっています。
これだけ部屋そのもののインパクトが強いので、展示する作品は何でもよいというわけにいかないと思うのですが、今回のボタニカルアートやウェッジウッドの陶器は雰囲気に見事に合致しています。
建築と絵画・陶器のマリアージュも本展の魅力のひとつなのです。
混雑状況
会期初旬の平日昼に行きましたが、そこまで混雑しているとは感じませんでした。
鑑賞する順番も比較的自由に選びやすかったので、人のいる作品を避けつつゆったり楽しめました。
入場待ちもなし。
ただ、予約枠の開始直後(11時ちょうど、14時ちょうど等)に入場する方が集中していたように見えました。
予約枠は1時間あるので、中途半端な時間に着くようにすると混雑を避けやすいでしょう。
また、休日・昼間・会期終盤は混雑しやすいので、平日・夕方・会期中盤までがおすすめです。
所要時間
企画展の所要時間の目安はおおよそ1時間超です。
作品点数は175点とかなり多く、どれも細部までじっくり見てしまうため、人によっては気づいたら2時間近く経っていた!ということもあるかもしれません。
また、せっかくなら広大な庭園も楽しみたいところ。
芝生でゆっくりするもよし、日本庭園を散策するもよし。
庭園も回る場合は+30分ほど見ておくとよいでしょう。
予約方法
オンラインの事前予約が推奨されています。
美術館公式サイトにオンライン予約サイトへのリンクがあるので、予約してから訪問しましょう。
支払はクレジットカードとd払いで事前にできますが、当日窓口でもできます。
入場時間枠は1時間ごとに設定されており、その中で自由なタイミングで入れます。
なお、割引を使う場合、無料対象者の場合、招待券・年間パスポート・ぐるっとパスがある場合は予約不要なので、直接窓口に行って大丈夫です。
予約後のキャンセルや日時変更はできませんが、定員に余裕がある限り入場直前まで予約が可能です。
開催概要
キューガーデン 英国王室が愛した花々
シャーロット王妃とボタニカルアート
東京都庭園美術館
新型コロナウイルス感染拡大状況によって、開館時間等が変更されている可能性があります
訪問前に必ず公式情報でご確認ください
会期
2021年9月18日(土)~11月28日(日)
休館日
月曜日
開館時間
10:00~18:00
※入室は閉館時間の30分前まで
入館料
一般 1,400円
大学生 1,120円
高校生・中学生 700円
65歳以上 700円
※小学生以下および都内在住在学の中学生は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳持参で、本人と介護者2名が無料
アクセス
東京都港区白金台5-21-9
- JR山手線、東急目黒線目黒駅より徒歩約7分
- 都営三田線・東京メトロ南北線白金台駅より徒歩約6分
公式HP、SNS
美術館公式ホームページ: https://www.teien-art-museum.ne.jp/
Twitter:@teienartmuseum
Instagram:@ teienartmuseum
Facebook:@tokyoteienartmuseum
特設ページ:https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/210918-1128_TheRoyalBotanicGardensKew.html
写真撮影
一部撮影可能な展示室がありますが、ほとんどの場所では撮影不可でした。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。