上野の森美術館で開催中の『深堀隆介展 「金魚鉢、地球鉢。」』。
色鮮やかな金魚が枡の中を泳いでいるポスターが印象的で、気になっている方も多いのではないでしょうか?
私も気になって先日行ってきたのですが、しみじみと「金魚、いいな・・・」と思わせてくる魔力のある展覧会でした。
金魚への愛おしさがこみ上げてくること間違いありません。
今回はそんな「深堀隆介展」について、気になる混雑状況や所要時間、見どころを詳しくレポします。
これから行こうか迷っている方、行こうとしている方のお役に立てれば嬉しい限りです。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため開館時間等が変更されている可能性があります
訪問前に必ず公式情報でご確認ください
ここが見どころ!
ではまず、見どころを2点に絞ってご紹介します。
なにがそんなによかったのか、深掘りしてみました。
絵画?立体?2.5D Painting
深堀隆介氏といえば金魚。
木の枡に透明な水が張ってあり、中に金魚がいる作品が有名です。
花びらや水草、フンが浮いていることもありますね。
この金魚、立体模型を透明な樹脂の中に埋め込んだようにも見えるのですが、実はなんと筆で描かれた「平面絵画」です。
枡に薄く透明樹脂を流し入れ、固まったらその上に金魚の一部を描き込む。
そして更にその上に透明樹脂を薄く流し入れて、固まったら金魚の一部を描く。
この繰り返しによって金魚を立体的に見せているのであって、構成しているパーツそれぞれは平面に描かれた絵画なのです。
ものすごい構成力と発想力。
時間も手間もかかってます。
YouTubeに上げられている本展の公式動画を見ると制作手順がよく分かるので、下に貼っておきますね。
(BGMのみなので電車でミュートしても理解できます。)
この手法の面白い点のひとつは、伝統的な作品のジャンル分けを問い直している点にあります。
従来、平面に描かれた「絵画」と、彫る・盛る等して形造られた「立体」の間には明瞭な境界線がありました。
ではこの枡に入った金魚たちはどうでしょう。
平面に描かれた「絵画」でありつつも、「立体」として見なければ作品として成り立たない。
2.5D Paintingとも言える斬新な発想が存在するのです。
金魚たちの圧倒的「生きもの感」
さて、上記は理屈っぽい見どころですが、実際に作品を前にした時の感覚的な見どころもご紹介します。
それは金魚たちの「生きもの感」です。
2.5D Painting ですよ、と事前に知ってしまっていたので、「え、これ模型じゃないの?」という理屈っぽい驚きがパッと浮かんだのも事実です。
ですが、じーっと眺めたくなった理由は金魚に心惹かれたからに他なりません。
水の中でほどけてしまいそうな繊細な尾ひれ。
自然界の複雑な風合いを感じさせる鱗。
そして個人的にツボにはまったのは、内蔵の存在をほのめかすような腹部の青味です。
腹部の皮膚(鱗?)の白の下に、手の甲に走る血管のような青色がほんのりと透けて見えるように描かれているのです。
このリアリティによって、生命の神秘、生きものの儚さ、命をつなごうとする本能の力強さが迫り来るように感じられました。
と、ここまで樹脂に「描かれた」金魚たちを念頭にご紹介してきましたが、他にも様々な形態の作品が展示されています。
パネルに描かれた平面絵画や映像作品、Tシャツ、一部屋まるごとインスタレーションなどなどなど。
「枡に入った金魚」のその先も、ぜひ期待を膨らませて行ってみてください。
展示構成
- 第1章 樹脂との格闘/進化する技法
- 第2章 2D―平面に棲む
- 第3章 偏在する金魚たち1―支持体、形式の探求の探求
- 第4章 偏在する金魚たち2―日常の景色とともに
- 第5章 2.25D―表面と深さのはざまで
- 第6章 新展開―生まれつづける金魚たち
混雑状況
会期半ばの週末昼過ぎに訪れた際はそこまで混雑はしていませんでした。
時間指定予約ができないので少し心配だったのですが、入場制限もなく、チケットも2,3組待ち程度ですんなり買えました。
会場内も程よい賑わい具合。
撮影可の作品など一部少し待つこともありましたが、鑑賞順が厳密に決まっていない展示室も多く、空いている作品から快適に楽しむことができました。
もうしばらく、特に平日はそこまで気にならないのではと予想しますが、休日や会期末は混雑が気になってくるかもしれません。
お早めにどうぞ。
所要時間
所要時間の目安は1時間~1時間30分です。
かなり駆け足でないと1時間以内は難しそうです。
逆に、途中の映像作品をじっくり眺めたりショップを堪能したりすると、1時間30分以上かかることはありそうです。
会期末など混雑しそうな時期や、折角だからゆったり味わいたい!という場合は、時間にゆとりをもつのがおすすめです。
事前予約・チケット
日時指定予約制ではないので、事前のチケット購入は必要ありません。
当日でも美術館の窓口で購入できます。
会期半ばの週末午後に訪れた際は、数組並んでいるくらいでスムーズに窓口で買えました。
もし窓口で待ちたくないのであれば、コンビニエンスストアの店頭やインターネットサイト(チケットぴあ、ローソンチケット、e+など)で買っておくこともできます。
年末年始、上野の森美術館は休館日が少ないため、来館者が集中する恐れがあります。
土日や会期末も混雑しやすいので、時間を無駄にしたくないのであれば事前購入もおすすめです。
事前購入の場合も日時の指定はできません。
開催概要
深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」
上野の森美術館
2021年12月2日(木)~2022年1月31日(月)
休館日:12月31日(金)、1月1日(土)
展覧会特設HP:https://www.kingyobachi-tokyo.jp/
展覧会特設Twitter:@kingyobachitko
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。