サントリー美術館で開催中のよみがえる正倉院宝物展に行ってきました!
展示されているのは、正倉院所蔵の宝物を制作当初の材料・技法で忠実に再現した「模造」。
本物と同じサイズの立体物で、しかも新品の輝きを放っている作品たちは、感動を覚えるほど美しいものでした。
生半可な再現度ではありません。
以下、展覧会について、気になる混雑状況や所要時間、見どころなどをご紹介します。
これから行こうか迷っている方、行こうとしている方のお役に立てれば嬉しい限りです。
新型コロナウイルス対策のため開館時間等が変更されている可能性があります
訪問前に必ず公式情報をご確認ください
混雑状況
会期初旬の週末昼過ぎに行った際は、混雑しているとは感じませんでした。
入場制限はなく、チケットも並ばずにサクッと買えました。
会場内では、人が密集することはほぼありませんでした。
他の人が見終わるのを待つ場面もなく、単眼鏡で気が済むまで細部を味わうこともできるくらいマイペースに過ごせました。
とはいえ、会期終盤にかけては徐々に混雑度は増していくでしょう。
細かな部分まで丹念に観察したい作品ばかりなので、空いていた方が絶対に楽しみやすい展覧会です。
できるだけ早めの訪問を強くおすすめします。
所要時間
所要時間は、音声ガイドなし・ショップ込で1時間半くらいが目安となりそうです。
展示点数自体はそこまで多くないので、サクサク進めば1時間で見終えることも可能でしょう。
ただ、解説文が詳しいので読む時間がかかりやすくなっていますし、映像による模造の解説は面白くて見入ってしまいます。
単眼鏡を持っていれば、作品の細部をじっくり観察したくなります。
最低でも1時間半、焦りたくないのであれば2時間かかっても良いように予定を組むようおすすめします。
チケット・事前予約
チケットの事前購入はオンラインでできますが、日時指定予約はできません。
オンライン購入で割引になることもないので、窓口でやり取りする手間や時間が特に気にならないのであれば、当日準備なしで訪問して問題ありません。
予習におすすめの書籍
今回ご紹介するのは、東京美術のすぐわかるシリーズのひとつ『正倉院の美術 見方と歴史』です。
正倉院が極めて貴重な宝物を守り伝えているのは分かるけれど、どうしてそんなに名品が集まっているの?という根本的なところから解説してくれています。
展覧会では、作品それぞれの解説は詳しいものの、正倉院の全体像についてはあっさりしているので、本書で押さえておくとより深く鑑賞できるはずです。
また、個々の作品についての解説も詳しくされているのもポイント。
会場で見た時に「おお、これがあの!」と感動できます。
特に、展覧会の冒頭に展示されている「螺鈿紫檀五絃琵琶」は衝撃的なほど美しいのですが、本書でもしっかり取り上げてくれているのが嬉しいところ。
展覧会の鑑賞後にも見返したくなる書籍です。
ここが見どころ!
では、見どころを2点に絞ってご紹介します。
実物大の立体品が放つリアルな存在感
ふだん私たちが目にする文化財の多くは、制作当初の姿とはかなり違っています。
色が褪せ、部品は欠け、ところどころ修復の手が入った品々からは、制作者が「よし完成!」とした状態を想像できないことも多いですよね。
ところが本展では、完成直後のきらめきを目の当たりにできるのです。
推測の域を出ない部分があるにしても、大変貴重な機会です。
また、よくある再現画像とは異なって、実物大の立体品であるのもポイントです。
大きいものを大きく、小さいものを小さく感じ、上下左右から視点を変えて見ることによって、作品の存在感をよりリアルに受け止めることができます。
こんなにキラキラして、色鮮やかで、細工も繊細だったのか・・・と驚かずにはいられません。
いや、驚きというよりもはや感動です。
模造が見られる貴重な機会を、ぜひお見逃しなく。
文化財継承にまつわる苦労
正倉院に宝物が眠っていることは義務教育で誰でも教わりますが、実際どのようにして守り伝えられているのかを具体的に知る機会はあまりありません。
本展では、継承に関わる重要な取り組み「模造」について、詳しく知ることができます。
模造の意義や制作の歴史も面白いのですが、苦労話も見ごたえがあります。
宝物が造られた当時と同じ材料・技法を使って再現するわけですが、そもそもどんな構造になっているのかから調査しなければなりません。
現在では手に入りにくい材料もたくさんあります。
玳瑁(たいまい・ウミガメの甲羅)や紫檀など、海外から輸入できなくなている材料は、なんとかして国内で調達しなければなりませんでした。
こうした苦労は一般にはなかなか知られる機会がありませんが、立ち向かって乗り越えてくださる人々のおかげで、貴重な文化財が受け継がれています。
地道な取り組みに驚くとともに、感謝を捧げたくなる展覧会でした。
展示構成
下記の6つの章に分けて構成されています。
- 第1章 楽器・伎楽
- 第2章 仏具・箱と几・儀式具
- 第3章 染織
- 第4章 鏡・調度・装身具
- 第5章 刀・武具
- 第6章 筆墨
文章による解説が充実している他、作業工程を動画で分かりやすく紹介するコーナーもあります。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。
よみがえる正倉院宝物 ―再現模造にみる天平の技―
サントリー美術館
2022年1月26日(水)~3月27日(日)
サントリー美術館公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/